壱話  〜朝食みーてぃんぐ〜


 

 「おはよう、星之宮」
 「ちーっす! 深黒」


沙夢さんに続いて階段を下りると、後ろにいる浅野さん以外の巫女は全員席に着いていた。
今あいさつしてきた人は矢坂谷右京・左京姉妹。クール系の人が右京さん、激しいお姉系の人が左京さんだ。
ちなみに双子らしい。なんでこうも性格変わるのか不思議でならない。親の顔が見てみたい。いろんな意味で。
「おはようございます」とあいさつ。思ったんだけどコレ、ハーレムってやつな気がしてきた。と思ったけど違う。あーでもどうなんだ。自分の服装が女装だからなんともいえないんですけど。

「おっ。今日は茶碗蒸しだねっ! 凝ってるじゃないにょん! めずらしいなぁ。本日の朝ご飯係は誰ッなのッね? 浅野?」
すげぇ沙夢さん。食べながら話すの上手い。あんた。にょんって。
「今日はあたしだったりー。びっくりかな? み・く・ろ♪」
なんとびっくり、要さんだった。いや、ホントびっくり。かなり美味いぞ、コレ。
「なんでぼくに聞く。でもホント美味しいですよ、要さん。」

「ねぇ、深黒っ?」

「なんですか? 要さん」

 


逝って良し☆


何故ッ?!

 


殴られた。ぐー。痛い。ホントなんでだよ。 「ねー、深黒。あんた何歳? ちなみにあたしは17歳だったり。陽子さんと同じ。」
「はぁ。ぼくも17歳だったりします。同い年だったんですね。」

—どっかーん

 また殴られた。
「ちょっ! なんでまた殴るんですか!」
「だ〜か〜ら〜! 同い年なんでしょ。だったらあたしのコトは要って呼び捨ててね☆ 敬語なんて使うなッ!」

……それだけで二度も殴られたのか。酷い。酷いぞ。親父にも殴られたことないのに。妹にならあるけど。
「じゃぁこれからは要ってよびまs……」
ぱーんちッ 三回目。
「はい。ええ。これから要って呼ぶよ」

あ、でも
「何で陽子さんのコトは『陽子さん』って呼ぶんだ? たしか17……」
「あ〜、陽子さんは別だヨッ! それはそれ、これはこれ! って感じ!」


まぁいいや。正直このテンションの人間に敬語は疲れそうだ。



 


食後、ミーティング。
食器を各自(沙夢さん除く)で片付けた後、一旦部屋に帰ってもう一回集合した。「会議」という名目なのになぜかほわわ〜んって感じの雰囲気だ。

「よーし、沙夢以外集まりましたし、いつも通りの会議を始めますね。とりあえず今日は深黒さんも加わりましたし。仕事の確認……ってところでしょうか。
どうせ特に重要なこと無いですし—」
無いのかよ。
「食事当番は私、要、陽子、左京の交代制ですが……。深黒さん、お料理出来ます?」

なんか不安そうな目で見られた。
「人並みには出来ます。レストランの臨時アルバイトぐらいには。」
「結構です。深黒さんにも任せることにします。じゃあ他は……掃除ですかね。」
ここの神社の敷地内には木が異様に多い。それだけ落ち葉も多いのだろう。境内も社の中も広いし。
「想像通り、竹箒で落ち葉を掃くくらいのものですが……。そうですね、普段は境内、水・土曜日は周りの森の掃除をお願いします。今日は陽子と共同でやってください」
……まぁこんなものだろう。
「以上ですね。特別なことがあればそのときに言います。何か他にありますか?」

「あー、浅野ー。深野って何時帰ってくるんだっけ?」

「あ、そうそう、忘れてました。明日です」

……深野? 誰だそれ。


「あー、みっくんは深野知らないんだっけ」
「はい。誰ですか? 陽子さん」
「深野は神主さんだよ。 つまり浅野の兄貴」
「あー……。例の……」

というか明日かよ。なんでそんな重要なことを言い忘れてるのかなぁ浅野さん。





—で。
箒を持って外に出たのですが。

「……陽子さん」
「何ー? どしたのみっくん。何かあった?」
「有る……というよりも在りました。なんというかー、そのー……」
「どれどれ〜。おっ! うん、解った。いわゆる『不穏な空気』というヤツだー」



解ってなんでそんな明るい声でいられるのか。不思議。
この神社の人はみんなキャラが薄いかつ濃いみたいな感じだから何とも言えない。
とりあえず。

この神社の階段の下から<ずもももも〜っ>て感じでもわもわしてる淀んだ空気、何なんでしょうね。

 


 

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