目が覚める。うん、いつも通り気分爽快、まぁ爽やかな朝。
夢は……うん、見てない。そう思う。あ、夢は寝る時の夢。将来の夢とかの夢ではない。
どうでもいい話だがぼくは「夢」を見たことがない。否、見たことあるかもしれないのだが、記憶に残ったことは一度たりともない。
つまりは常にノンレム睡眠なのか。あれ? でも前ノンレム睡眠でも夢見るって書いてあったような気がする。覚えてない。まぁいいや。
とにもかくにもぼくは夢を見ない。本当、どうでもいいことだけど。
この神社に来て二日目の朝、なぜか目が覚めたら時刻は5:00。早いのか。まぁ早いか。どっち??
「おっはよー。みっくん。調子はどう?」
「あ、陽子さん。おはようございます」
部屋に入ってきたのは森町 陽子さん。「ヨーコ」ではなく「ハルコ」と呼ぶらしい。
浅野さん曰くヨーコと呼ぶとキレて一週間ぐらい皆を睨み続けるらしい。このお姉さん系で明るい性格からは想像できないのだが……ま、人間いろいろ事情はあるか。よくわかんないけど。
「みっくん朝早くてすごいな、なんか。普通起床は6時だからねっ。じゃ、後で居間に来てねー」
ウィンクして出て行った。あれ? ぼくが起きてなかったらどうするつもりだったんだアノ人。まあいいけ……いや、男としてダメか。
特にすることもないので早速着替えようとタンスを探る。いや、ホントはしたいこともあるけどまだ引っ越し全部完了したわけではないし。とはいえ家が全焼したからそんなにないんだけど。
洗顔し、寝間着のジャージを脱ぎ偽パッドを付け、巫女の白衣を着る。なんか変態みたいだけど勘違いしないで欲しい。あくまで仕事だし。
巫女服を着終わった後ウィッグをかぶる。水色、ぼくの髪の色と同じだ。それを浅野さんがくれたゴムでツインテールにする。妹の髪もツインテールで、よく結んであげてたから出来る。
これでとりあえず……いいのではないかと思う。いや実際男が巫女になるっていう根本が間違ってるけど。うぅむ、微妙。複雑。
廊下を歩く。結構長く、旅館の様に部屋が並ぶ。3階ほどあり、神主や巫女達が住むための部屋部屋。一部屋9畳。陽子さんによれば神主である浅野さんのお兄さんはちょっぴり広いらしい。ちなみにぼくの部屋は3階の端部屋だ。
丁度階段を下りようとした時、浅野さんと会った。
「浅野さん、おはようございます。」
「あっ、深黒さん、おはようございます。昨日はよく眠れましたか?」
「はい、おかげさまで。3階に何か用事でもあるんです?」
浅野さんは今、微妙な笑顔だ。昨日の爽やかな笑顔じゃない気がする。
「えーと、沙夢を起こしにきました……。あの子は朝に弱いので。夜行性、ですね。」
そうなんですかー、と軽く答え、その場を去ろうとした時
「深黒さん、沙夢起こすの手伝ってくれませんか?」
すみません、浅野さん。
僕、一応男なので遠慮しま……
「私一人だとあの子……なかなか……大変なんですよ」
絶対機嫌悪いよこの人。でも浅野さん、やっぱり…………
………………すみませんでした。一緒に行かせてもらいます。